ダメケル

三十代ニートの日記

教団X

長いので途中で挫折するかもと思ったが二日で読み切った。読みやすい文章と飽きさせない展開にぐいぐいと引き込まれた。途中の宇宙誕生や量子力学の話なんかも好きなのでスルスルと頭に入った(理解しているかはわかんないけど)
 
小説を読むとき自分なりの尺度がある。ストーリーが面白い、キャラクターが魅力的、ジャンルとして優れているなどいくつかあるのだが、この作品は「世界(作者)が面白い」枠にぴったりと収まった。リアリティやキャラがベラベラ喋りすぎとかいうツッコミはどうでも良くて、書いている人間の頭の中を覗いている感覚がたまらなく気持ちいい。たしかに読んでいて性描写多いなと思ったり、こんな女性いるかと思ったが、それでもページを捲らせてくれるパワーがあった。これだけ文量を読ませるだけでも凄い。
 
もともと中村文則作品は「土の中の子ども」と「何もかも憂鬱な夜に」を読んでいた。「教団X」と合わせて考えてみると、彼の作品の根底には「自己を肯定」するということが横たわっている気がする。自分を大切にしようなんていうのはありふれた言葉だ。なんの説得力もない。そこに意味を持たせるために中村文則は物語を書くのではないかと思う。登場人物を絶望的な状況に追いやり、社会の冷たさや世界の残酷さをこれでもかと突き付け、その上で自分の尊さを問いている。そしてこの世界は人間は生きるに値するだと叫んでいる。
 
「教団X」は今年読んだ百冊目の本だ。ちょうどいい区切りの作品になって良かった。

 

教団X (集英社文庫)

教団X (集英社文庫)