ダメケル

三十代ニートの日記

それから

今年の初めから夏目漱石の『それから』を毎日一ページづつ音読していて、昨日読み終えた。ニートだと声を出さない日が続くので発声の練習として続けていた。だいたい朝に読む。程よく難しい漢字や難解な言い回しがあるので頭の体操にもなる。
 
高校生の頃に教科書に『こころ』が載っていた。国語の先生はこれは名作だ!名作だ!と連呼していたけど、当時の自分には何も響かなかった。そのとき読んでいた西尾維新佐藤友哉のほうが感動していたし、価値があると思っていた。若気の至りである。
 
この年になって色々と知識が付くと、夏目漱石という人は新しい時代にどうやって生きるかを考えていたのかもしれない。
 
現代は「恋愛」と「仕事」は自分の意思で決めるべきものとされている。しかし、ちょっと前まで見合いで結婚することは当たり前だったし、集団就職や家を継ぐことも当然のようにあった。『それから』の時代では「家」が強い力を持っており、「個人」は弱い存在だった。その中で高等遊民の代助が家を捨て、愛を選び、自立した生き方をしようとする。
 
実際のところ代助がそういう生き方が出来るのかは微妙なところだ。繊細すぎて何度も寝込むし、打たれ弱くてすぐ狼狽してしまう。インテリだけど世の中を渡っていけるだけの気力みたいなものが決定的に欠けていた。最後は頭がおかしくなったのではないかと思わせるほどだけど、あれはもしかしたら刺激の強い赤に意識を向けることで、自分を強くしようとしているかもしれない。
 
『それから』の音読を始めたときに、これを読み終えるときは仕事をしているかもと思ったが、ニートのままだった。

 

それから

それから