幼いころから時々ふっと気が遠くなることがあった。現実感がなくなるというのか、俯瞰でものを見るというのか、とにかく自分の存在が曖昧に思えてくるのだ。大人になってもそれは続いていて、いまではほとんど毎日のようになっている。実際のところ小さいときに感じていたあの感覚と同じなのかは分からないが。離人症かもしれないと思ったが、どうにもしっくりこない感じがする。
これまでの人生、どこにいても居心地がわるくて、常に自分は偽物であるという考えがあった。それは当たり前過ぎて他の人はそうは感じないと知ったのはわりと最近のことであった。何が原因なのかと考えたこともあるが、それがわかったところで解決する類の問題とも思えない。そもそも色々な要因が複雑に絡み合ったの自意識なので、原因は一つじゃないはず。
もう二月が終わる。時間のスピードがどんどんと早まっていく。
最近観たもの
バイトしていたときにお店で万引きをした親子が捕まったことがある。若い母親と小学生低学年くらいの男の子と女の子。母親はどこにでもいそうな普通の人で、盗んだのはブレイブボードという子どもの間で流行っていた玩具だ。万引きは通報するのが決まりで、すぐに警察がやってきた。引き渡されるときの子どもたちの強張った表情が記憶に残っている。
映画では子ども二人の将来が心配だなぁと思った。ラストシーンは取り残された彼女を強く印象付けているように感じた。ただ、偽りであれ一時であれ豊かな家族を過ごした体験は何かの救いや成長の糧になるんじゃないだろうか。そう思わないとあまりに悲しすぎる。とにかくズドーンと食らってしまう作品。登場人物の背景もハッキリとは示されず、色々と想像する空白が残っている。
自己啓発本をそのまま映画にしたような作品。
画面が凄い。
どっちがゴリラかわからん。
「悪霊」や「罪と罰」といった長編はまだ読んでないんだけど、ドストエフスキーってこじらせた男にぴったりの作家のような気がした。