ダメケル

三十代ニートの日記

働くことの人類学

 働くことをテーマに文化人類学者の対談がまとめられている。もともとはポッドキャストで始まった企画が書籍化されたもの。最近、発売された phaさんの「人生の土台となる読書」で紹介されており、Kindle Unlimitedに入っていたので読んでみた(テキストではなく画像形式?だったので電子書籍だと読みにくい)  

 

 

 様々なエリアで研究する文化人類学者の話が勉強になった。狩猟民族だからといって男が狩り、女は家事というわけではない。ある遊牧民たちは相手の人格や権利を臓器の胃として考える。命令されて働くことを極端に嫌う民族などなど。  

 トリビア的なトピックだけではなく、なぜそういう働き方になったのか、なぜそういう文化なのかと考察していくところが本書の最大の読みどころだと思う。

 日本のように連続性のある社会で育まれた文化と難民となった民族の社会での文化は当然ながら変わってくる。当たり前の話なんだけど、これまで意識したこともなかった視点だった。  

 本の中に出てくる民族はどれも風習や考え方もバラバラだ。しかし、共通している点もある。それは国・政府が彼らを定住させたり、一箇所で労働させる風に変えようとしているのだ。ただ、あまり上手くいってないのも含めて同じなのが興味深い。

 日本のことを考えると、明治時代にガラリと社会が変わったわけだけど、大衆レベルではスンナリと受け入れたんだろうかな。逆に言うと、スンナリと受け入れたからこそ近代化が成功したのかもしれない。

 学生の頃に文化人類学の講義を取っていたけど、改めて触れてみるとこんなに面白かったのかと驚いた。研究対象にアプローチしていく方法や観察者としての主観と客観のバランスなど、人間の営みだからこそ割り切れないものがある中で、一つの形にどう収めていくべきなのかが大変だろうなと思った。

 なによりある文化や風習に対してまず観察することが大事だなと感じた。